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藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス 2 感想

藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス 2に載っている、「イヤな イヤな イヤな奴」、「劇画・オバQ」、「休日のガンマン」、「定年退食」、「権敷無妾付き」、「ミラクルマン」、「ノスタル爺」、「コロリころげた木の根っ子」、「間引き」、「やすらぎの館」、「箱舟はいっぱい」、「宇宙開拓史」の感想です。オチも含めたネタバレありの感想です。

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イヤな イヤな イヤな奴

 洋画風に色んなキャラが紹介されていく。SFの感じて未来の様々な施設が紹介されて藤子・F・不二雄のセンスが凄く良い。そして、タイトルにもあるイヤな奴であるミズモリが場をかき乱す。

 ミズモリの明らかなイヤな奴という描写が凄く、ひたすら注目を浴びている。最後に”にくまれ屋”という事が判明する。この新しいビジネスという発想が良い。この話の面白いところは最初から、ミズモリ関係なくてもつれる所から始まっている。途中の台詞に”いつもロクなメンバーと組ませてくれん”という発言があって、前からしっかりと行われていることが分かる。

劇画・オバQ

 オバQより15年後の物語で、久しぶりのQちゃんとの出会い。Qちゃん自身の姿が変わってないが周りの姿が変わっている。そして語られる周りの状況の変化。この変わりようが書かれている中で、Qちゃん自身は変わってないように書かれているがQちゃんの大食いも周りから迷惑がられるなど。その後、久しぶりに全員と出会って子供のころの事を思い出して子供の気持ちが強くなる。そして、大人の世界から離れるかと思いきや最後の子供が出来たシーンで切なくなる。

休日のガンマン

 最初にガンマンの話が始まる。だけど、主人公がドジで何か違和感を感じ始めたら、どうやらガンマンごっこをやっているようだ。時々現実の話がでるが、ガンマンの世界を楽しむために現実の話をするのを注意。しかし、それでも現実関係がこのごっこ遊びに強く絡んでくる。主人公はそれでも、ガンマンとして行動するが。

 この話で、ごっこを楽しもうとする主人公に現実関係が強くまとわりついているのが印象的。そして、ここにいる人たちは全員大人である。最後のコマが印象的で「みなさまのみなさまによる夢の世界」という発言があるが、結局主人公はボコボコにして楽しむ事が出来てないのである。大人になって、現実的なことにより楽しむ事が出来なくなったのが辛く感じた。劇画・オバQとはまた違う「大人」を味わった。

 

定年退食

 食料不足や高齢化社会の二つによる合わせたテーマで、物語として大きな展開が次々と起こる訳では無い。しかし、世界観が非常につらさがあり、最後のコマも悲観を感じる。

 

権敷無妾付き

 すっぱい葡萄を現代風に表している感じで、負け惜しみのように思う。

 

ミラクルマン

 木関さんが不思議な事を語りだす。俺には奇跡の力があると。そこから語りだすが郷里がそれぞれに関して合理的に説明をしていく。最後に奇跡を信じなくなったからなのか中途半端に叶う感じになり、最後のページでは神様が登場している。

 この奇跡が連発するといくら何でも疲れるし、神を信じる心に関しても少なくなり天界?のものも神を信じてない部分が描写されているのが面白い。

 

ノスタル爺

 戦争にいった男が久しぶりに村に帰ったらすべてが変わり村が消えていた。少年と少女の戦争中の恋を描いており二人の何とも言えない雰囲気が良い。過去の後悔が描写されている。そして理屈がなく、急に過去に戻ってあの時いた爺さんが自分自身と気づく。最後のコマの顔が。

 抱けぇっ!抱け!とこの言葉の重みが強い。もし、あの時子供が出来ていたら何かが変わっていたのかも知れない。戦死公報が完全に心を折る形になっていた。最後の笑顔も、二人の思い出に浸ってるかもしれない。過去に戻るきっかけだった、シーンが何故会ったのかという不思議さもある。

 

コロリころげた木の根っ子

 大和先生の原稿を受け取りに西村が大和先生の家に行くが、そこでは女房をひたすら雑に扱う大和先生、そして所々に違和感を感じ始める。

 童謡の待ちぼうけの様にチャンスを待ち、大和先生の復讐を願うという。静かに復讐を願っている描写がずっと続いている事が分かり、運勢が大凶なら旅行に行かせようとするほど少ない可能性にも賭けていることが分かる。食べ物でもずっと、同じの出し続けたりと。

 一応ではあるが、大和先生が女房に関しては、感謝して愛しているだから三十年間もある。この描写があるのが何とも。

 

間引き

 定年退食と少し似たような状況で人口が増え続けていて食事が足りなくなっている。しかし、政府が大きく関与している訳ではなく、殺害が起きたり子供がロッカーに放置されるという事が起きている。そこに、記者はこの異常なことは「愛」が失ってると。

 人間の欲求が、人類を増やすため。生物としての本能という所からの発想が凄い。45億人で危機感があるのが現在からみると大げさで実感が無いのだが。(ウルトラマンのバルタンもそうですがこの問題)

 最後のマイナス1からのプラス1プラス1プラス1の絶望感。

 

やすらぎの館

 主人公が他の話と違って結構の成功者というのが珍しい。しっかりとした社長でいる。しかし、心に疲れがある。そこからやすらぎの館を進められて安らぎを。

 成功すれば安らぎを得られるかと思いきやそうでもないという事が伝わってくる。安らぎのために成功を求めるのも違うのかもしれない。

 

箱舟はいっぱい

 所々出る不穏感。そこから地球が滅亡することが判明する。その地球滅亡することによって、人同士の争いが起きるが。しかし、デマだという事が判明して人々は仲直りsるが、それが真実から背けるための情報で最後のページで真実をしってる家族が少し出たり、最後の台詞もこれから起こることが想像できる。

 最初は変なことでも信じて多くの国民が大騒ぎしたがデマだと説明された途端に安心してしまう。世の中色んな事があるが、何が真実なのか分からない。何を信じたら良いのか分からない。

 

宇宙開拓史

 色んなコマがある。1コマ目の宇宙でタバコを我慢できなくて空気が無いのにヘルメットを壊してまで吸おうとしているのが。真空ってつまらない。太陽に近いので「月日が経つのが早い」。そして次の開きコマでハッチを閉め忘れたとある。もしかしたら地球人全員が移動したのだろうか。このコマはあんなに距離があるのに忘れたとなれば大惨事だ。あとの二つは他の星に無事にたどり着いたのか。骨になった生き物から生えている植物を食べている人。ロボが故障しているロボと認識して刃物をもって向かってきている。

 実際の宇宙は、どうなのか分からないが開拓するにも大変で不便さがあるのかもしれない。